平成28年度総括研究報告書

各地方公共団体における墓地経営に関する情報共有のあり方に関する研究

平成29年3月

研究代表者 浦川 道太郎
公益社団法人 全日本墓園協会 特別研究員(早稲田大学 名誉教授・弁護士)

総括研究報告書/関連資料

関連資料

3-1 <4つの契約約款モデル>

<4つの契約約款モデル>その①

① (社)全日本墓園協会作成(昭和62年度)
○○法人 ○○霊園管理使用規定(標準)○○市 ○○霊園条例(標準)

(目的)
第1条 この規程は、○○霊園(以下「霊園」という)の管理、運営に関する基準を定め、その管理使用の適正化を図ることを目的とする。

(用語の定義)
第2条 この規程で「墓所」とは、墳墓を設けるために区画された土地の一区画をいう。

(管理者)
第3条 霊園は、○○法人○○霊園の理事長(代表)が任命する管理者が管理する。

(墓所使用の目的)
第4条 墓所は、墳墓の用に供する目的以外に使用することはできない。

(墓所使用者の資格)
第5条 墓所は、宗旨宗派のいかんを問わず、何人も霊園の承諾に基づき使用することができる。

(墓所使用の申込みと承諾)
第6条 墓所の使用を希望する者は、別に定める「○○霊園墓所使用申込書」に所定の事項を記載し、霊園の承諾を得なければならない。

(墓所使用料)
第7条 前条により、墓所使用の承諾を得た者は、別に定める墓所使用料を所定の時期に納入しなければならない。

( 墓所使用者の資格取得 )
第8条 墓所使用申込書は 、墓所使用料を完納し、霊園より 「墓所使用承諾書」 の交付を受けたとき 、墓所使用者として 、墓所を使用することができる。

(墓所使用者の資格喪失)
第9条 墓所使用者は 、次の各項の一に該当するときは、その資格を喪失する。
(1) 墓所使用者が死亡した日から起算して、2 年を経過してもその祭杷を継承する者が判明しないとき 。
(2) 墓所使用者の届出住所に郵便物が到達しない状態が 3 年間継続し、且つその間管理料の納入がないとき。

(管理料)
第10条 墓所使用者は、霊園の維持管理に要する経費として、別に定める管理料を所定の時期に納入しなければならない 。但し 、物価の変動等の事由により 、管理料を改訂すること ができる。

(墓所使用権の承継)
第11条 墓所使用者が死亡したときは、民法897 条の規程に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
2 前項の場合には、承継者は、承継の事実を証する書面をもって2年以内に霊園にその旨を届出なければならない。

(墓所の譲渡・転貸の禁止)
第12条 墓所使用者は、その使用墓所を第三者に譲渡・転貸することはできない。

(墓所使用者の義務)
第13条 墓所使用者は、次の各号の定めるところに従って、墓所を使用しなければならない。
(1)墓所に焼骨(または遺骨)を埋蔵しようとするときは、あらかじめ管理者に対し埋火葬許可証または改葬許可証を提出しなければならない。
(2)墓所使用者は、「墓所使用許可証」に定められた墓所を使用し、墳墓を設置し、かつ、墓所として美観を維持しなければならない。
(3)墓所使用者が、その住所を変更したときは、遅滞なく新住所を管理者に届出なければならない。

(墓所使用者の解除)
第14条 墓所使用者が、次の各号の-に該当する場合には、霊園は墓所使用者に対し、その使用契約を解除することができる。
(1)3年間無届で管理料の納入を怠ったとき。
(2)墓所使用者が、墓所を第4条以外の目的に使用したとき。
(3)墓所使用者が、第12 条に違反したとき。
(4)墓所使用者が、この規程に違反し、墓所使用者としての適格を失ったと霊園が判断したとき。
(5)墓所使用者が、法人の場合、当該法人が、解散したとき。

(契約の解除に伴う措置)
第15条 第9条及び第14条により、墓所使用者がその資格を喪失したときは、埋蔵焼骨等がある場合は、墓所使用者であった者が、3ヶ月以内に埋蔵焼骨を改葬し、設置してある墓石等構造物を撤去して、原状に復さなければならない。
2 前項の資格喪失後3ヶ月以内に改葬せず、墓石等構造物を撤去しなかったときは、管理者が墓所使用者に代わって、費用を立替え、 埋蔵焼骨を改葬し、園内の定められた場所に合問すると共に墓石等構造物を撤去し て、霊園 所定の場所に移転保管する。
3 前項による移転保管中の墓石等構造物の損傷、損壊、滅失等について当霊園は責任を負わない。
4 墓石等構造物について保管開始から満3年を経過しても引き取りがない場合は、当該物件の所有権は当霊園に帰属する。

(墓所の明け渡し)
第16条 墓所が不要になったときは、墓所使用者は直ちに霊園に届出をし、当該墓所を原状に復して、明け渡さなければならない。
但し、霊園の承認を得たときは、現状のまま明け渡すことができる。

(使用料及び管理料の還付)
第17条 既納の墓所使用料及び管理料は還付しない。

(補償及び補修)
第18条 墓所使用者が、その責に帰すべき事由 により、隣地及び霊園の施設に損害を 与えた場合には、墓所使用者の負担に より、補償及び補修をしなければならない。
2 災害、盗難等霊園の責に帰すべからざる事由により、墳墓に損害を与えた場合には、霊園はその責めを負わない。

(管理権に基づく措置)
第19条 管理者が、墓所につき、公用収用の必 要のため、また土地の整備等その他の 必要のため、墓所使用者に対して改葬を求めたときは、墓所使用者はこれに 応じなければならない。
2 前項の場合には、霊園が代替地及び改 葬に伴う費用を補償する。

(使用規程改定権の留保)
第20条 本使用規程の内容については、相当期 閉経過後、社会的、経済的な事情の変更により、相当な事由に基づいて管理者はこれを改定変更することができるものとする。

(目的)
第1条 この条例は、地方自治法(昭和22年法律67号)第244条の2第1項の規定に基づき、市営霊園の設置及び管理について必要な事項を定め、その管理使用の適正化を図ることを目的とする。

(用語の定義)
第2条 この条例で墓所とは、墳墓を設けるために区画された土地の一区画をいう。

(名称及び位置)
第3条 霊園の名称及び位置は、別表のとおりとする。

(墓所使用の目的)
第4条 墓所は、墳墓の用に供する目的以外に使用することはできない。

(墓所使用者の資格)
第5条 墓所を使用できるものは、本市に住所を有する者でなければならない。但し、市長が相当の理由があると認めたときは、本市以外に住所を有する者に対しても、使用を許可することができる
(2)市長は、使用をさせようとする墓所の数が著しく少ない場合その他特に必要があると認めた場合には、墓所を使用とする者の資格について制限を加えることができる。
(3)墓所の使用は、一世帯に1区画とする。

(墓所の使用許可)
第6条 墓所を使用しようとする者は、この条例の定めるところにより、市長の許可をうけなければならない。

(公示・公募)
第7条 市長は、墓所を使用させようとするときは、その規模、数量、使用料その他の必要な事項を公示し、墓所を使用しようとする者を公募する。
(2)市長は、前項の規定により公募した結果、墓所を使用しようとする者の数が公募数を超えるときは、抽選により許可を与える者を決定する。

(墓所使用料)
第7条 前条により、墓所使用の承諾を得た者は、別に定める墓所使用料を所定の時期に納入しなければならない。

(墓所使用者の資格取得 )
第8条 前項の規定により墓所使用の許可を受けた者は、別に定める墓所使用料を所定の時期に納入しなければならない。

(墓所使用許可証)
第9条 墓所使用許可を受けた者は、墓所使用料を完納したとき墓所使用者となり、市長は、墓所使用者に「墓所使用許可証」を交付する。

(管理料)
第10条 墓所使用者は本霊園の管理に要する経費として、別に定める管理料を所定の時期に納入しなければならない 。

(墓所使用権の承継)
第11条 墓所使用者が死亡したときは、民法897 条の規程に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
(2)前項の場合、承継者は、承継の事実を証する書面をもって、市長に遅滞なく霊園にその旨を届出なければならない。

(墓所使用者の義務)
第12 条 墓所使用者が墓所に焼骨又は遺骨の埋蔵をしようとするときは、あらかじめ市長に法令に基づく埋火葬許可証、改葬許可証を提出し、市長の許可を得なければならない。
(2)墳墓の設置及びその変更、改造、移転については、墓所使用者は事前に市長の許可を受けなければならない。

(墓所使用許可の取り消し)
第13 条 次の各号の一に該当する場合には、市長は、墓所使用者の使用許可を取り消すことができる。
1.墓所使用者が許可の日から起算して○年を経過しても埋蔵(又は墳墓の設置)をしないとき。
2.墓所使用者の死亡した日から起算して、3年を経過してもその祭祀を継承する者が判明しないとき。
3.墓所使用者が住所不明となって3年が経過したとき。
4.○年間の管理料の納入を怠ったとき。
5.墓所を第4条以外の目的に使用したとき。
6.墓所使用者が第三者に使用墓所を譲渡し、又は転貸したとき。
7.この条例若しくは、これに基づく命令に違反したとき。
(2)前項の規定により使用許可を取り消されたときは、墓所使用者は直にその墓所を原状に復して、本市に明け渡さなければならない。
(3)使用許可を取り消された後1 年以内に、墓所使用者が前項の措置を行わなかった場合には、市長がこれを行うことができる。
(4)前項の場合には、墳墓の所有権は本市に移転する。但し使用者の請求あるときは、本市に現に利益の存する限度において、墓石等を返還しなければならない。

(墓所の明け渡し)
第14 条 墓所が不要になったときは、墓所使用者は直に市長に届出をなし、墓所を本市に明け渡さなければならない。但し、市長の承認を受けたときは、現状のままで明け渡すことができる。

(使用料及び管理料の還付)
第15条 既納の使用料は還付しない。(但し使用許可の日から○年以内に墓所の全部を明け渡したときは。既納の使用料の○○を還付する。)
(2)既納の管理料は還付しない。

(補償及び補修)
第16条 墓所使用者が、その責に帰すべき事由 により、隣地及び霊園の施設に損害を 与えた場合には、墓所使用者はその負担により、補償及び補修をしなければならない。
(2)災害その他霊園の責に帰すべからざる事由によって墳墓に損害をうけた場合には、その補修に要する費用は、霊園はこれを負担しない。

(施行規則)
第17条 この条例施行について必要な事項は、市長が別に定める。

付則
1.この条例は、昭和○○年○月○日から施行する。
2.この条例施行の際、現に墓所の使用許可を受けている者は、この条例によって許可を受けたものとみなす。



<4つの契約約款モデル>その②、③、④

②平成8年度厚生科学研究/報告書(平成10年3月)

③厚生省通知(平成12.12.6、生衛発第1764号)

④平成26年度厚生科学研究/報告書(平成27年3月)

墓地の使用契約ガイドラインの作成」所載・「墓地使用契約約款案

「墓地経営・管理の指針等について」の別添2
墓地使用に関する標準契約約款」から「墓地使用権型標準契約約款」のみ抜粋

我が国における公営墓地使用条例・規則について-モデル条例試案
(「墓地埋葬行政をめぐる社会環境の変化等への対応の在り方に関する研究」報告書4-2 に所載)

1.墓地使用契約の成立
(1)墓地の使用者(以下「使用者」という)は、以下の条項を承諾のうえ、本日、墓地の提供者(以下「提供者」という)に対して提供者の管理する墓地内の所定の区画(以下「墓所」という)の使用を申し込み、提供者はこれを承諾しました。
(2)提供者は使用者に墓所に外柵・墓石・焼骨埋蔵のための施設(以下「墓石等」という)を設置して焼骨の埋蔵のために使用することを認めます。
(3)使用者は提供者に墓所の使用料○○万円を提供者の指定する期日までに納付することとします。使用者が指定日までに使用料を納付しない場合には、本契約は解除されるものとします。
(4)使用者は、墓所内に墓石等を設置せず、焼骨を埋蔵していない場合には、契約の成立後○力月内に限り、本契約を解除することができます。この場合、使用者が既に墓所使用料を納付しているときは、提供者は使用者に対して(3)に定められた使用料の○割を返還します。

2.墓所の使用
(1)提供者は、使用者に対して、その宗教・宗派を問わず墓所の使用を認めます。
(2)使用者は、墓所内に使用者の親族及び縁故者の焼骨を所定の手続を経て埋蔵することができます。ただし、縁故者の焼骨を埋蔵する場合には、提供者の承諾を必要とします。
(3)使用者は、墓所を祭祀のために焼骨を埋蔵する目的で使用し、それ以外の目的には使用できません。
(4)使用者は、提供者の承諾なく、墓所を使用する権利を第三者に譲渡し、また、墓所を第三者に転貸することはできません。

3.管理料
(1)使用者は、提供者に対して、事務費並びに墓地の清掃、環境の整備等、墓地の管理に要する費用として別に定められた管理料を支払うこととします。
(2)使用者は、出に定める管理料を所定の時期までに提供者に納付することとします。
(3)提供者は、物価の変動等の事由により、相当と認められる範囲内で田に定める管理料を改訂することができます。

4.墓所内の施設
使用者は、墓所内に墓石等を設けるについては、提供者の定める施設工事規程を遵守することとします。

5.墓地の管理、墓所の管理
(1)墓地の清掃、環境の整備等、墓地の管理については、提供者が責任を負います。
(2)提供者より使用を認められた墓所については、使用者が責任をもって管理し、墓石等の安全について配慮し、また、墓所内の清掃、墓所内の植栽の剪定・除草等を自らの責任で行うものとします。
(3)地震・天災等の不可抗力あるいは第三者の行為による墓石等の倒壊・破損については、提供者は責任を負いません。地震・天災等で墓石等が倒壊・破損した場合には、使用者は自己の費用で早急に修繕・復旧するものとします。

6.使用者の債務不履行による契約の解除使用者が次の各号の一に該当する場合には、提供者は使用者に対し○力月以内に契約を履行するよう催告し、その間に履行がないときには、提供者は本契約を解除することができます。
①5年の間、管理料の納付を怠った場合
②第2条第2項、第3項に定めた使用の目的、使用の方法に違反して墓所を使用した場合
③第2条第4項の定めに違反して、墓所を第三者に使用させた場合
④ その他、使用者が本契約の定めに違反した場合

7.契約の承継と契約の承継者不明の場合の契約の解除
(1)使用者が死亡した場合には、使用者の祭祀承継者は、使用者の死亡後5年以内に墓所の使用を継続する届け出でを提供者に提出し、本契約を承継することができます。
(2)(1)に定める墓所使用継続届が提出されない場合には、提供者は本契約を解除することができます。

8.使用者による契約の解除
使用者は何時でも、本契約を解除することができます。ただし、その年の管理料の返還を請求することはできず、その年の管理料が未払いの場合には、全額の支払の義務を負います。

9.契約解除後の使用者および祭祀承継者の義務と提供者の権利
(1)本契約が解除された場合には、使用者あるいは使用者の祭祀承継者は、直ちに墓所内に設置された墓石等の施設を撤去し、墓所内に埋蔵された焼骨を引き取るものとします。
(2)使用者あるいは使用者の祭祀承継者が前項の義務に違反して墓石等の撤去をせず、また、焼骨を引き取らない場合には、提供者は墓石等を墓地内の所定の場所に移動し、埋蔵された焼骨を供養のため墓地内に設置された納骨堂(あるいは集合墓所)に移すことができます。ただし、6条②③④による解除の場合には、本項に定める措置は、解除後2年を経過しなければ実施できないものとします。なお、提供者は使用者あるいは承継者に対して墓石の移動、焼骨の移動に要した費用の賠償を請求することができます。

○○墓地使用契約約款
(目的)-第1条
本約款は、財団法人○○[宗教法人△△]が経営する墓地(以下「墓地」という)の使用及び管理に関し必要な事項を定め、その使用及び管理が適切に行われることを目的とする。

(墓地の使用)
第2条 使用者は、次に掲げる墓地の区画(以下「墓所」という。)を、契約成立後○年間[第8条又は第9条の規定により契約が解除されない限り、継続して]使用する権利を有する。


使用墓所



2 使用者は、経営者に届け出て、墓所内に使用者の親族及び縁故者の焼骨を埋蔵することができる。
3 使用者は、墳墓の設置、焼骨の埋蔵その他墓地本来の使用目的以外の目的のために墓所を使用してはならない。
4 使用者は、経営者の承諾を得ずに墓所を使用する権利を他人に譲渡し、又は他人に当該墓所を使用させてはならない。

(使用料)
第3条 使用者は、経営者が定める期日までに使用料○円を支払わなければならない。

(墓地の管理)
第4条 墓所の清掃、除草等については、当該墓所の使用者がその責任を負う。
2 墓地の環境整備その他の管理(前項に規定するものを除く。)については、経営者がその責任を負う。

(管理料)
第5条 経営者は、前条第2項に要する費用に充てるため、別に定めるところにより、使用者に対して毎年管理料を請求するものとし、使用者はこれを支払わなければならない。
2 経営者は、物価の変動等により、当該時点における管理料によっては前項に規定する費用を賄うことができなくなったとき、又はその確実な見込みが生じたときは、必要かつ相当と認められる範囲内において、管理料を改定することができる。この場合において、経営者は、改定後の額及び改定の具体的な理由を明記して、使用者に対し、事前に書面により通知するものとする。

(契約の更新)
第6条 墓所を使用する権利を有する期間が経過した後も継続して墓所を使用しようとする者は、当該期間が経過する○年前から、経営者に対して契約更新の申込みをすることができる。
2 前項の申込みがあった場合において、前条第1項に規定する管理料の支払義務が履行されている場合には、経営者は前項の申込みを承諾しなければならない。

(使用者の地位の承継)
第7条 使用者の死亡により、使用者の祭祀承継者がその地位を承継して墓所の使用を継続する場合には、当該祭祀承継者は、すみやかに別記様式による地位承継届出書に住民票の写しを添えて経営者に届出を行うものとする。
2 使用者の祭祀承継者が墓所の使用を継続しない場合には、書面をもって経営者にその旨を届け出るものとする。

(使用者による契約の解除)
第8条 使用者は、書面をもっていつでも契約を解除することができる。
2 前項の場合においては、使用者は既に支払った使用料及び管理料の返還を請求することはできない。ただし、墓所に墓石の設置等を行っておらず、かつ焼骨を埋蔵していない場合において、使用者が既に使用料 納付しているときは、契約成立後○日以内に契約を解除する場合に限り、経営者は、当該使用料の○割に相当する額を返還するものとする。
3 第1項の場合において、契約解除の日の属する年[度]の管理料を納付していないときは、使用者は当該管理料を支払わなければならない。

(経営者による契約の解除)
第9条 経営者は、使用者が使用料を所定の期日までに支払わなかったときは、書面をもって、契約を解除することができる。
2 前項に規定する場合のほか、使用者が次の各号の一に該当する場合には、経営者は相当の期間を定めて債務の履行を催告し、その履行がないときには、書面をもって、契約を解除することができる。
一 ○年間管理料を支払わなかった場合
二 第2条第3項に規定する使用の目的に違反して墓所を使用した場合
三 第2条第4項の規定に違反して墓所を使用する権利を他人に譲渡し、又は他人に当該墓所を使用させた場合

(契約の終了及びこれに伴う措置)
第10条 契約は、次に掲げる場合に終了する。
一 墓所を使用する権利を有する期間が経過した後、第6条第1項に規定する契約更新の申込みがなされなかったとき
二 第7条第2項の届出があったとき
三 前二条の規定により契約が解除されたとき
2 契約が終了したときは、使用者であった者又はその祭祀承継者(次項及び第項において「元使用者等」という。)は、速やかに墓所内に設置された墓石等を撤去し、墓所内に埋蔵された焼骨を引き取るものとする。
3 元使用者等が前項に定める義務を履行しない場合において、契約終了後○年経過した場合には、経営者は、墓石等を墓地内の所定の場所に移動し、及び法令の規定による改葬手続を経て埋蔵された焼骨を墓地内の合葬墓又は納骨堂に移すことができる。
4 前項の場合においては、経営者は実費を元使用者等に請求することができる

○○市霊園の設置及び管理に関する条例
(趣旨)
第1条 この条例は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第244 条の2 の規定[1]に基づき、○○市営霊園(以下「霊園」という。)の設置及び管理に関し必要な事項を定める。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。[2]
(1) 霊園 墓所及びその周辺の緑地並びに敷地内に設ける附帯施設の総称
(2) 墓所 墳墓を設けるために市長が指定した区画
(3) 墳墓 焼骨を理蔵する施設

(霊園の設置)
第3条 公共の福祉及び公衆衛生の向上に資するため、本市に霊園を設置しその名称及び位置は、次のとおりとする。


名称位置
○○霊園○○市△△町1丁目2番地
××霊園○○市××町3丁目4番地


(墓地の使用目的)
第4条 墓所は、墳墓の用に供するものとし、その目的以外に使用してはならない。

(使用の許可)
第5条 墓所を使用しようとする者は、市長の許可を受けなければならない。
2 前項の許可の申請をすることができる者は、次の各号のいずれの要件をも満たさなければならない。 ただし、市長が特別の理由があると認めた者については、この限りでない。[3]
(1) 本市の住民基本台帳に引続き6か月以上登載され、現に本市に居住している者
(2) 現に埋蔵(改葬を含む)するべき焼骨を所持し、墳墓を必要としている者
3 市長は、第1項の許可をするにあたり、管理上必要な条件を付することができる。[4]
4 市長は 第1項の許可をした場合には使用許可証を交付する。
5 市長は、その使用が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団の利益になると認めるときは、墓地使用を許可しない[5]。

(代理人の選定)[6]
第6条 使用者が市内に住所を有しないとき、又は有しなくなったときは、速やかに、市内に居住する代理人を選定して市長に届け出なければならない。代理人を 変更したときも同様とする。
2 前項に規定する代理人は、使用者の代わりにその義務を負わなければならない。

(使用料の納付)
第7条 使用者は、別表1に定める墓所使用料(以下「使用料」という。)を、使用許可の際に全額納付しなければならない。

(使用料の還付)
第8条 既に納めた使用料は、還付しない。ただし、使用許可を受けてから1年以内に未使用のまま墓所を返還した場合には、市長は、既納使用料に50%を乗じた額を還付することができる。[7]

(管理料の納付)
第9条 使用者は、墓地の管理に必要な経費として、規則で定める管理料[8]を納付しなければならない。

(使用料等の減免)
第10条 市長は、特別の理由があると認めたときは、使用料及び管理料の納付を減額し、又は免除することができる。[9]

(譲渡等の禁止)
第11条 使用者は、墓所を使用する権利(以下「使用権」という。)を譲渡し、転貸し、又は担保に供してはならない。

(墳墓等の設置、改造)
第12条 使用者は、墓所に墳墓を設置し、又は改造しようとするときは、あらかじめ、市長の許可を受けなければならない。
2 墳墓は、規則で定める基準に適合しなければならない。

(管理上の措置等)
第13条 市長は、使用者に対し、墓所の設備及びその管理並びに維持について、管理上必要な措置を命ずることができる。
2 前項の場合で、墓所の移転や区画の変更を伴う場合には、市長は使用者に対して相当な補償を行なう。

(使用権の承継)
第14条 使用権は、使用者の死亡その他の理由により、当該使用者に代わり祭祀の主宰者となった者が、市長の許可を得ることのよりこれを承継することができる。
2 前項の規定により、使用権を承継しようとする者は、原因発生後速やかに前項の許可を申請しなければならない。
3 市長は、第1 項の許可をした場合には、使用権承継許可証を交付する。

(使用権の取消し)
第15条 市長は、使用者が次の各号のいずれかに該当するときは、墓所の使用許可を取り消すことができる。
(1) 使用許可を受けた目的以外に使用したとき。
(2) 使用権を讓渡し、転貸し、又は担保に供したとき。
(3) 偽りその他不正な手段により使用許可を受けたとき。
(4) 使用者が管理料を滞納し、その期間が3年を超えたとき。
(5) その他この条例又はこの条例に基づく規則に違反したとき。
2 市長は、前項の規定により使用許可の取消しを行なった場合には、その旨を使用者に通知する。

(原状回復義務)
第16条 使用者は前条の規定により使用許可を取り消されたときは、直ちに当該墓所を現状に復し、市長に返還しなければならない。
2 使用者が前項の義務を履行しないときは、市長はこれを執行し、使用者に対してその費用を徴収する。[10]

(使用権の消滅)
第17条 次の各号のいずれかに該当するときは、使用権は消滅する。[11]
(1) 使用者が死亡した日から5年を経過しても主宰者がいないとき。
(2) 使用者が住所不明となり7年を経過したとき。
2 前項の規定により使用権が消滅したときは、市長は、当該墳墓等を改葬し、又は移転することができる。
3 市長は、前項の規定により改葬し、又は移転しようとするときは、その1月前までにその旨を規則に定める方法により告示しなければならない。[12]

(使用者の住所等の変更)
第18条使用者は、第5条第4項の使用許可証又は第14条第3項の使用権承継許可証[13](以下「許可証」という。)の記載事項に変更があったときは、速やかに市長に届け出なければならない。

(許可証の再交付)
第19条 使用者は、許可証を損傷し、又は紛失したときは、速やかに市長に申請し、許可証の再交付を受けなければならない。

(罰則)[14]
第20条 次の各号に該当する者は、5万円以下の過料に処する。
(1)第4条又は第5条の規定に違反して墓所を使用した者
(2)偽りその他不正な手段により使用許可を受けた者
(3)使用権を譲渡し又は墓所を転貸した者に詐欺その他の不正な手段により使用料又は管理料の徴収を免れた者に対しては、その徴収を免れた金額の5倍に相当する金額以下の過料に処する。ただし、当該5倍に相当する 金額が5万円を超えるときは、5万円の過料に処する。

(規則への委任) [15]
第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。



[1] 地方公共団体に対し、公の施設の設置及び管「理に関する事項は条例で定めなければならない旨規定する条項である。これに加えて墓地・埋葬等に関する法律を」摘示する例もある。
[2] 解釈上疑義を生じさせないため、主要な用語の定義規定は重要である。
[3] 市営霊園である以上、墓所の使用は市民(しかも焼骨を所持する者)が優先されるべきであり、合理的な制限であろう。特別な事由については、行政の平等原則や裁量権の濫用・逸脱に留意しつつ、市長が判断することとなる。
[4] 地方税の滞納ある場合、滞納の解消を条件とすること等が考えられる。
[5] 民間の契約書では、暴力団排除条項を入れることが一般化しつつある。公営墓地の設置・管理条例で規定されている例はわずかだが、今後検討されるべきであろう。ただし、厳格な適用は、公衆衛生等別な問題を生じさせるおそれがあるので注意を要する。
[6] 後日使用者が所在不明となり、荒れ墓地化や管理料の滞納を回避するための条項である。この条項と、第18 条の規定とで所期する目的は相当程度達せられるのではないか。当初から保証人を付することを条件とする例もあるが、一般に保証人確保は困難を伴う。目的は相当であるが、手段として行き過ぎの感がある。
[7] 還付に関してはこのほかにも、様々な規定の仕方があること、一切還付しない旨の規定にも合理性が認められ得ることは、本文で指摘したとおりである。
[8] このほか、手数料を一括して定める条例のなかで規定する場合もある。
[9] 民営霊園に比べ、使用料。管理料はさほど高額ではないが、資力の乏しい市民に配慮した規定であり、多くの条例に見られる規定である。
[10] 使用許可の取消に実効性をもたせるためか、このような規定を置く例は多い。しかしながら、このような措置は、行政代執行法に基き執行されるべきであり(同法第1 条)、条例を根拠とすることには無理があるのではないか。また、法律に基づく代執行が可能な場合でも、遺骨の処分まで代替性を認め得るかどうかは、議論のあるところである。
[11] 検討対象となった条例中、死亡の場合には5 年、行方不明の場合には7 年と規定する例が最も多かったが、相当のバリエーションがあることは本文で指摘したとおりである。
[12] 無縁改葬の規定である。「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」では、一般の無縁改葬には1 年間の掲示を義務づけているが、使用権が消滅した以上、必ずしも1 年もの期間をおく必要はないであろう。他に、この規則に定める方法により改葬する旨規定する例がある。しかし、同規則の規定は市町村長に改葬等の許可を得るための規定である。市長が自らの措置に許可を申請する意義に疑問があるが、同規則に定める措置に準拠して無縁改葬の手続をより慎重に行なう趣旨であれば理由なしとしない。なお、この規定により墳墓の改葬(収去明け渡し)は可能としても、さらに墓石類や遺骨の処分をもなし得るかにつき議論があることは、本文中に指摘したとおりである。
[13] 許可証の体裁や記載事項については、規則で定めておくことが望ましい。また、記載事項の変更があった場合に逐次届出の義務を課すことで、使用者不明となる事態をある程度回避できよう。
[14] 規定に実効性を保たせるため、重要な違反に過料を科すことはやむを得ない措置であろう。2 項は、地方自治法228 条3 項に依拠した規定である。同条項では「詐欺」となっているが、「詐偽」の文言を使用する例もある。いずれも「だまして免れる」趣旨と理解して良いであろう。
[15] 条例のほか、施行規則を規定するのが一般的である。使用許可申請手続、墓碑等の建設申請手続、様式使用許可証の様式、住所等の変更届出様式等、条例規定の細目を規定している。使用料の還付基準は、還付申請手続とともに、条例中ではなく規則で定められる例が圧倒的に多い。


3-2 各市における墓地、埋葬等に関する法律施行条例等の概要 >>>


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